解決事例「高齢の母に父の死亡を知らせずに相続登記をしたい」
「高齢の母に父の死亡を知らせずに相続登記をしたい」
父が亡くなり、相談をしました。わたしには高齢の母がおり、亡くなった父と同じ施設にお世話になっています。父が所有する不動産について相続手続きを取りたいと思っていますが、高齢の母に父の死亡の事実を知らせたくありません。 このような状況でも手続きがとれるのでしょうか。
(J様/茨城県/男性/60代)
【ご依頼の経緯】
ご高齢のお母様のご心配がまず第一におありのようでした。ご依頼人様にはご兄弟がおらず、お父様の相続人はお母様とご依頼人様のみでした。2名以上の相続人がいる場合、通常は相続人で遺産の分け方について話し合い(遺産分割協議)、その話し合いの結果を「遺産分割協議書」に残して相続手続きを進めるのが一般的です。ですが、「遺産分割協議書」作成には相続人全員の関与が不可欠であり、ご依頼人様のご希望「高齢の母に父の死亡を知らせずに相続登記をしたい」が、これでは叶いません。 遺産の承継方法にもう一つの選択肢があります。 「法定相続分による分割」です。この分割によると相続財産についてお母様とご依頼人様がすべて共有所有の形とはなりますが、代表者としてご依頼人様が手続きを取ることができるので、お母様の関与がなくとも相続手続きを進めることが可能となります。 不動産の共有所有は後々面倒なことも多く、あまりお勧めはしておりません。今回のケースでも、お父様のご相続についてすぐに手続きを取る必要はないこともご説明しました。 ご依頼人様はしばらくお考えのお時間を取られましたが、最終的には当法人に手続き一式をご依頼いただくことになりました。
【担当木村行政書士からのメッセージ】
当法人ではお客様が必要のない手続き(時期的なものも含む)を強くお勧めすることは一切ありません。 今回のケースも相続登記義務の猶予期間が3年近くありますので、現時点ですぐに手続きを取る必要もありませんでした。それでもご依頼人様は手続きを取られることをご希望されました。なぜ、今お手続きをする選択をされたのかについて、深くお聞きすることは控えております。 相続手続きはとてもプライベートな内容を取り扱うことが多く、また「人の死」に直面したご相続人の心情も十二分に配慮する必要があります。 ご相続人のおかれた状況やご心情に寄り添う形で業務が遂行できるように、日々心掛けております。その反面、寄り添いすぎないようにすることも意識してご面談させていただいております。全く初対面の赤の他人にお話されたくないご事情もあるかもしれません。 できる限りビジネスライクに、法的判断のみをさせていただいておりますので、安心してご相談いただければと思っています。
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